高知県の公立高校の英語授業について
すぐにでもできること⑦
-基本的指導の見直し(添削指導)-
高知県教育委員会事務局高等学校課 山田憲昭
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高校英語教員の皆様へ
このシリーズは高知県の公立高校における英語授業の課題を踏まえ,英語教員の皆さんと英語授業や指導法に関する情報交換を行い,平成25年度から高校で始まる新学習指導要領の授業作りをサポートすることを目的としています。
「基本的指導の見直し」のシリーズでは,日々の授業における様々な場面での基本的な指導について取り上げ,指導事例やその事例上の課題を紹介しながら,すぐにでもできるという視点で改善策を考えてみます。今回は「添削指導」について考えてみます。
1 添削指導
多くの高校において行われている「添削指導」の典型は,授業に関連して英作文や文法演習などの課題を与えて,ノートやプリントという形で提出させ,教員が適切なコメントや修正などを加えて生徒に返却するというものではないでしょうか。今回の事例もそのような指導の一つですが,どういう状況であれ,添削指導にはとても時間がかかるという共通の課題があるように思います。教員一人あたりが担当する生徒数も影響していると思いますが,教員が時間をかけて丁寧に修正や解説を書き入れるという手法にも一因があるように思われます。
2 指導事例(※議論を焦点化するため,部分的な記述に留めます)
・生徒が提出したプリント等の課題を見て,赤ペンで間違いや誤答を指摘するとともに,正しい表現・語彙,または正答等を記入して生徒に返却する。
3 指導事例上の課題
この事例に限らず,多くの添削指導では「返却されたプリントや課題をもう一度生徒が見る」ことを前提にした指導が行われます。しかし,実際,生徒は返却された課題をもう一度見ているのでしょうか。教員に間違いを指摘されたり,修正されたりしても,返却された課題にもう一度目を通すことがなければ,添削指導における教員の苦労は半減します。また,もう一つ気になるのは,添削において教員が修正を加えることです。これは別の見方をすると,生徒自らが誤りに気付き,同じ課題に再チャレンジする機会を奪っているとも言えます。
4 改善のためのヒント
生徒が二度と見ない,二度とやらない課題では,せっかくの教員の労力も報われませんし,生徒の学びも十分ではないでしょう。このような添削指導を,教員の苦労が報われ,生徒の学びが促進されるものへと進化させる必要があります。
間違った問題・課題に生徒が再チャレンジできる(しなければならない)仕掛けが肝心です。生徒の側から考えると,たとえ再提出でも2回目以降は初回提出よりもずっと負担は少ないでしょう。また,教員から何らかのフィードバックがあれば,大いに取り組みやすくなるはずです。さらに,提出物としての評価についても考える余地はあるでしょう。教員の努力と同様,生徒の努力も報われるように,授業との関係性を高め,具体的に成績に加味することも有効でしょう。一方,教員側から考えると,添削指導の際に,生徒が再チャレンジするのであれば,模範解答をいちいち書く必要はなく,生徒に提出した課題がどういう点で不十分なのかを効率よく伝えるシステムが機能すれば,時間短縮も可能です。
たとえば,記号によるエラー・コレクションを用いて,生徒が再び取り組む機会を作り,教員の指導時間を短縮することが可能ではないかと思います。
高知西高校では,平成17年度にSELHiの取組の1つとして,英語科3年生に,「授業を通じて1つの主題文を持つ80~100語程度の英文パラグラフを1つ書く」という課題を4月~9月,11月で14回与え,以下のような添削記号(Correction Symbols)を用いた添削指導を行いました。
実際の指導は,2コマの授業と教員が行う添削が中心で,1時間目に語彙学習,モデル・パラグラフの読解,さらに15分程度の英作文の時間を設け,2時間目に教員が添削した課題を生徒に返却し,添削記号や教員からのフィードバックを参考にし,英文を修正し,再提出するというものでした。1時間目と2時間目の間には2~3日間の間隔があり,その間に教員は生徒から提出された英文パラグラフを読み,複数の生徒に共通するエラーなどを見つけ,修正の際の重要なポイント等をハンドアウト化し,2時間目に使用しました。授業で課題を提出できない(しない)生徒は,宿題として家庭で取り組みました。
成果としては,最初は慣れない記号に戸惑いもあったようですが,次第に記号にも慣れ,ほとんどの生徒が1回目に書いた英文をもう一度読み直し,自ら誤りを見つけ,より適切な英語表現へと修正できるようになりました。また,ほとんどの生徒が苦にせず課題に取り組む様子が見られるようになりました。さらに,繰り返しモデル・パラグラフを読解する練習をおこなったこと,「全文をもう一回繰り返し書く」という仕組みにより何度も繰り返し書いたという点が,英語表現の定着に貢献した可能性があると思われます。実際,14の課題それぞれについて2回ずつ英文パラグラフを書いたので,合計で28回英文パラグラフを書きましたし,定期考査にも英文パラグラフを書く課題を出題したので,少なくとも30回以上は書いたことになります。この方法は,現在でも高知西高校で継続して取り組まれています。
<使用する添削記号>
No Symbols Descriptions(どのような観点でのエラーなのか)
1 V Error on
2 ^ Missing word (if the sentence is completed with suitable words, they will be better.)
3 WW Wrong(unnecessary) word(s) or phrase(s)
4 SS Error on sentence structure
5 ?? Wrong expressions / Expressions which teachers can’t understand
6 ( ) Singular or plural / small or capital / spellings / informal
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