■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
高知県の公立高校の英語授業について
「すぐにでもできること①-英語で授業を行う-」
高知県教育委員会事務局高等学校課 山田憲昭
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
高校英語教員の皆様へ
じめじめした梅雨も終わりました。これから本格的な暑い季節になりますので,お体にお気をつけ下さい。
さて,先日,「高校英語授業」と題して,高知県内各県立高校の今年の英語授業の様子について教えてくださいという旨のメールを,県内高校英語教員の皆さん(全員ではありません)に送りました。
これまでにいただいた返信によると,学年団で地道に取組を始めている学校もありますが,具体的な取組はまだどの学校でもあまり進んでいないのが実態のようです。たとえば,「英語で授業を行う」ことに関しては,OCでは以前から取り組んでいるものの,英語Ⅰや英語Ⅱで取り組んでいる学校は少数です。
このような現状を踏まえ,できるだけ多くの英語教員の皆さんと英語授業や指導法に関する情報交換を行い,このメルマガ上で平成25年度から高校で始まる新学習指導要領の授業作りをサポートできればと思っています。
今回は「すぐにでもできること①」と題し,新学習指導要領の趣旨を踏まえつつ,「英語で授業を行う」ことについて考えてみたいと思います。
ご一読いただき,ご意見・ご感想をお聞かせください。
**************************
「すぐにでもできること①-英語で授業を行う-」
**************************
1 決断,仲間・同僚,Action Research
「授業は英語で行うことを基本とする」ことに関して,私の経験で言えば,英語で授業をするか・しないか,は教師としての「力量」ではなく,むしろ教員の「決断」なのではないかと思います。
この「決断」がなかった私は,長らく英語で授業することをためらい,授業のどの部分をどの程度英語で進めるかという点で悩み過ぎ,実践できずにいました。しかし,私の背中を押してくれたのは同じ学校の同僚や英語研究の仲間でした。「できるところまで英語で進めてみよう」と切替ができたのは彼らのおかげでした。本当に同僚や先輩の存在は大きかったと言えます。
最近は,初任者研修や若年教員研修など,若い層の教員からは「オール・イングリッシュに挑戦したい」という積極的な声を聞きます。まだ経験や指導計画,指導法も未熟な彼らですが,彼らの前向きな姿勢を大切にしたいと思いますし,彼らの姿勢に学ぶべき点があるとも思います。少々無謀でも「やらない」より「やってみる」の方がエネルギーが必要ですし,その後の学びが必ずあります。
教員が授業を通じて様々な指導方法にチャレンジしなければ,いつ効果的な指導を学ぶことができるのでしょうか。「効果的な指導法はただ一つ」ということはありません。当たり前のことですが,指導の効果は,指導法やタイミング,学習者の習熟度等により異なります。同じ学習者は二人といないわけですから,学習者の数だけ学習法,指導法があっていいと思います。各職場では,若い教員のエネルギーを上手に活用して,英語の指導法に関する校内での研修を活性化させることができるのではないかと思います。
高知県の英語教員の多くは,教員として大切な授業改善の手法を身に付けています。それは Action Research です。目の前の生徒の現状を把握し,課題を見つけ,タイミングを見計らって課題を解決する指導を授業に取り入れ,その結果を検証し,次の手立てを考えるという手順で授業を改善し,ひいては生徒たちの英語力の向上につなげるという方法です。
皆さん,今すぐできることを授業に取り入れる「決断」,Action Researchを開始する決断を各職場で同僚とともにしましょう。
2 すぐにでもできること
以下(1)~(4)は,私が考える「すぐにでもできること」です。書いてみて気づいたことは,「できる」というよりは,むしろ英語教員としては当たり前の「やらなければならない」ことではないかということです。皆さんはどう思われますか。
(1)音声モデルの提示(モデル発音,モデル音読など)
これをしていない英語教員はいないはずです。提示する(与える)分量はどれくらいがいいのかという問題もあると思いますが,もう一つの問題は,教員自身が自分の声でモデルを示すのか,テープやCDでモデルを示すのか,ということです。いつもテープやCD任せにし,自分の声だけでモデル提示を済ませてしまうことはないですか。CDプレイヤーは運ぶのは確かに面倒ですが,生徒はどの先生がチョークと教科書だけを持って教室に来るのか,どの先生が授業の道具・教材をたくさん手にして教室に来るのかをちゃんと見ています。
自分の発音,CDやテープの音源をモデルとしてバランスよく使い分けたいものです。自分の発音に自信がないので,いつもCDに頼りっぱなしという方もいます。自分の発音が下手だと思うならば,できるように練習すればいいだけの話です。努力を惜しむ教員を信頼する生徒はいません。努力をしている教員の姿を彼らに見せてあげてほしいと思います。
(2)励ましたり,誉めたりする動機付けを行う英語
経験からですが,高校の教員はこれが下手です。というよりも慣れていないと言った方がいいかもしれません。どういう場面で励ますのか,どのように誉めるのか,何を誉めるのかわからない方もいるかもしれません。
厳密な線引きは不要だと思います。生徒は,外国語習得という大変大きな壁を乗り越えようとしているのですから,どうぞ遠慮せずに,生徒の活動の全てを励まし,誉めてあげてください。授業中に,生徒が英語で4技能を使う場面さえあれば,これが可能です。例えば,1分間で100語からなる英語のパラグラフを音読できた,ペアワークで2分間Q&Aのやり取りを継続できた,期限までに提出物を提出できた,小テストで満足のいく得点を取れた,教室の窓・ドアの開閉をしてくれた等,いくらでも誉める対象は探すことはできます。そうしているうちに「最近やたら・・・先生が英語で誉めるね」と噂になり始めます。これは自分たちが誉められているという実感がある証拠です。学習の「動機付け」は,指導者が本当に忍耐強く指導を継続し,気長に効果や生徒の変化を待たないといけません。
(3)授業を展開する英語,生徒の言語活動が円滑に進むようにサポートする英語
この3年間,おかげ様で県内の高校英語授業をいくつも拝見しました。良い点もたくさんありましたが,残念だったことの一つは,簡単な授業展開や活動をサポートする場面で,英語を積極的に使う教員がまだまだ少ないという事実です。
「面倒」「照れる」「英語に自信がない」などは論外です。英語授業において英語を使うことが奨励されないならば,それは英語の授業ではないでしょう。生徒もそのように理解し,その授業に見切りをつけるでしょう。実際には「英語で話すと生徒が理解できない」というのが,教員が授業を英語で行わない最大の理由のようですが,これは言い訳にしか聞こえません。少なくとも数ヶ月間,願わくは数年間,英語で授業を行い,生徒の反応や効果についてリサーチした結果や結論とは思えません。
たとえば,大規模なリサーチでなく,自分が話す英語を生徒が理解していないようだと感じたら,質問や発話を繰り返す回数や量を増やしたり,ヒントを与えたりしてみたりの微調整をまず行うことです。数ヵ月後に,アンケートで発話の何%くらい理解できていないのか,誰が理解できていないのか,始めの頃と今とで何か違いがあるか,不安はあるか等を調べてみましょう。その他にも,様々な効果についてアンケートや授業観察を通じて調べることができるはずです。
ここで必要な英語教員の仕事は,①理解できる程度の英語を生徒に応じて自在に使う,②今回はすぐに理解できなかったけれども,次は理解できるように全員にINPUT指導する,を繰り返すことではないでしょうか。
英語教員としてのプライドがあれば「日本語で指導する」ことに戻らないはずです。以下,場面別に英語表現を掲載してみました。もちろん,これ以外にもたくさんありますが,とりあえず参考にしてください。
①挨拶・出欠確認・授業開始・teacher's talk(話題の導入等)を行う場面
Good morning/afternoon, everyone. How's it going?
It's fine(rainy/windy) today, isn't it? Look at the sky. It's so beautiful.
Who is absent today? Why is Takashi absent? Was he absent yesterday?
I saw the TV program ‘..........' last night. Did anyone(you) watch(see) it?
Let's start the class.
②簡単な活動を指示する場面,言語活動をサポートする場面
First, please look at the picture (on the board / on page 35 in the textbook).
Open your textbooks, page 25, please.
Please look at the handout.
Read the passage and try the questions in 10 mins.
Please raise your hand if you know the answer.
Try Question No.3 within 3 mins.
Write this sentence as many times as possible in 1 min.
Get into pairs(groups of 3) and play janken with your partners.
Janken-winners read the passage. And janken-losers listen and check your partners' reading aloud.
Mr.Yamada, please come to the front and then write your answer to the question.
Ms. Ueta, please be quiet. This is not the time to chat.
You answered, “ ”, but I don't think so. Do you want to try it again?
Your answer is not correct, but it's a good try. Does anyone try it?
③フィードバックを行う場面
corrective feedback(矯正のためのフィードバック)とは学習者のエラーを矯正・修正するために教員が与えるフィードバックのことです。Lyster & Ranta (1997)によると以下の6つの種類があります。(Lyster, R., & Ranta, L. 1997.Corrective feedback and learner uptake.)。
教員がこれらを効果的に使い分けることができれば,学習者の言語習得を「正確さ」等の点でサポートできます。
(a) Explicit correction: 学習者にエラーを明示し,一方的に修正する
(例) You should use “bought” instead of “buy.”
(b) Recasts: 学習者のエラーを言い直す
(例) Oh, you “bought” the bag yesterday.
(c) Clarification requests: 学習者にエラーが発生したことを知らせる
(例) Sorry ?/Excuse me ?
(d) Metalinguistic feedback:
主に文法的なエラーに対して,学習者に修正の手がかりを与える(主にyes/noで答える質問を使用する)
(例) Do you use “buy” in the past tense ?
(e) Elicitation: 学習者にエラーの修正を促すために積極的に働きかける
(主に疑問詞を用いた質問を使用する)
(例) What is the past tense form of “buy” ?
(f) Repetition: 学習者のエラーに対し,その部分を強調して繰り返す
(例) Oh, you “buy” the bag yesterday ?
④授業を展開する場面
Today's first activity is to check new words and phrases in L.3.
We're going to use the handout No.3.
Let's move on to the next activity.
Today's homework is to write this sentence 5 times on your notebook.
This is your homework to do. Try(Do) it at home and bring it to me tomorrow morning. OK?
(4)英語による授業展開を事前に想定して,授業ハンドアウトを作成する
添付した資料は文部科学省からのものですが,このように,ハンドアウトから日本語を排除し,全てを簡単な英語で記述してみる。また,イラストや画像を使用したり,必要最低限の日本語訳等を付けて,予習・復習・授業中の全ての場面で共通して使用するハンドアウトを作成する。教員の話す英語が少々理解できない場合でも,ハンドアウトを工夫することで,生徒の不安感(教員の発話を理解できないかもしれないという)を少なくできるのではないかと思います。
Subscribe to:
Post Comments (Atom)
0 comments:
Post a Comment